海月の駄文が公開されます。
子猫の淹れた珈琲を飲みながらどうぞ。。
× [PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
「冬の零時に、冬遊びについて語りましょう。
日付はあのクラスだったのだから、必要ありませんね。 当時の制服だけを着てきて下さい。手袋やコート、マフラーは厳禁。 窓を開けて、嘗て貴女が座っていた席に座っていて下さい」 一ヶ月前に受け取った封書は、一方的にそれだけが書いてあった。 送り主の住所も名前も無い。 普段なら”悪戯”の一言で片付けてしまえる、あまりにも簡素な封書。 しかし、 私はその封書を読んで、硬直してしまった。 体中に電撃が走ったように感じた。 「冬遊び」、そのたった一単語が私の心に突き刺さって離れなかった。 深く、深く、私の記憶は暗闇に逆行していく。 ―厭だッ ―やめて、助けてっ ―お願いだよ、杏子ちゃんっ! 上手く呼吸が出来ない。 喉が渇いて仕方が無かった。 どうして、今更、と頭の中で声がしていた。 母に呼ばれるまで、私は動けなかった。 不思議そうな母の顔を前に、ゆっくりと封書をポケットに仕舞う。 なんでもないと応えて、「お友達から」そう一言添えて私は何気ない振りをして部屋に戻った。 すぐに、ベッドの上に寝転ぶ。 そこで、私は初めて、 自分がいつのまにか震えていた事を認識した。 外が寒かったわけではない。 ただ、 怖かった。 どうしようもなく、怖かったのだ。 PR |
カレンダー
フリーエリア
最新コメント
最新トラックバック
プロフィール
HN:
海月と子猫
性別:
非公開
職業:
学生
趣味:
書店巡り、読書
自己紹介:
海月のように自由に、
子猫のように気紛れに。
ブログ内検索
|